読了「宇崎ちゃんは遊びたい!」

内容としては、みつはしちかこの「小さな恋のものがたり」の継承する恋愛ショートコント。
今の社会に求められているものに即して、もっと直接的な表現して笑いの表現にしている。

舞台も何もコントの設定のような形になっているのでドラマのような現実世界のような細かい地名や商品のようなものは省かれている。
そういう意味では関係性だけをデフォルメにして、シチュエーションコントみたいになっているので大部分の空白を深読みも出来るし、しないで楽に読めるようにもしている。
作品としてのストーリーは何かに向けての進んでいくことは殆ど無いので、多数のエピソードで繋いでいくようになっている。

コントのような見方になってしまっているのだが、季節柄M-1でよく言われる「脚本と演者(作者)の組み合わせで100%以上の魅力があるのか?」という見方だと全然足りていないのではと思った。
メインの読者層にはかすってもいないので、こんなのは穿った見方で間違いの可能性が高い。
しかし、核の部分が組み合わさったところで良い数値になっているが、似たような作品はあるのではないか、と思ってしまった。
人間というよりは記号の集合体が動いて、その時の条件で反射的にでてくる回答を追いかけているように感じていた。
寓話性とか人間の喜怒哀楽が切り離されていて、マンガのダイジェストだけで全部出来上がっており、そこから空白地帯に乱暴に投げ飛ばされてしまった気持ちになったというのが正直なところだ。

ストーリーの方向性を作る設定がとても少ないので、ハイコンテクストで読者が類似作品などのあるあるで勝手に埋めていけば良いという所で評価されているのかもしれない。
読んだ後の何も残らない感じは今っぽいと思えた。なんだかすべてがサイボーグで構成されているようだった。

2020.12.04 / Category : 小噺